○大曲仙北広域市町村圏組合消防本部火災調査規程
平成19年3月23日
消防本部訓令第1号
大曲仙北広域市町村圏組合火災調査規程(昭和61年消防本部訓令第2号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 調査業務体制
第1節 調査の原則(第3条~第7条)
第2節 調査体制(第8条~第11条)
第3節 調査本部の設置及び運営(第12条~第17条)
第3章 調査業務の執行
第1節 調査実施上の通則(第18条~第21条)
第2節 火災出場時の調査(第22条・第23条)
第3節 鎮火後の調査(第24条~第31条)
第4節 鑑識等(第32条~第36条)
第4章 調査結果の記録等
第1節 調査書類の作成(第37条~第39条)
第2節 火災の報告(第40条~第43条)
第3節 照会の対応(第44条・第45条)
第5章 雑則(第46条)
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であつて、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によつて多量のガス及び熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(3) 調査 火災予防を主とする消防行政施策の資料となるものを火災現場から収集し、活用するための質問、現場見分、鑑識、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。
(4) 鑑識 火災原因及び火災による損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。
(5) 鑑定 火災に係わる物件の形状、構造、材質、成分及び性質並びにこれらに関連する現象について、科学技術的手法により必要な試験及び実験を行い、その結果を基に火災原因の判定のための資料を得ることをいう。
(6) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。
(7) 指揮者 第24条第1項の規定に基づき署長が指定する者をいう。
(8) 主任調査員 第9条第2項の規定に基づき署長が指定する者をいう。
(9) 副主任調査員 第9条第3項の規定に基づき署長が指定する者をいう。
(10) 本部調査員 予防課の職員及び消防長の指示により招集された消防本部(予防課を除く。)の職員をいう。
(11) 関係者等 法第2条第4項に規定する関係者(以下「関係者」という。)及び火災の発見者、通報者、初期消火者その他の調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。
(12) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいう。
(13) 収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物及びバルコニー、ベランダ等に置かれている物をいう。
(14) 車両 自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。
(15) 被けん引車 車両によつてけん引される目的で造られた車及び車両によつてけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。
(16) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(17) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機をいう。
第2章 調査業務体制
第1節 調査の原則
(調査の基本)
第3条 調査は、物的証拠を主体とし、関係者等の供述に基づいて検討を加え、科学的方法による合理的な事実の解明を図らなければならない。
(調査の区分及び範囲)
第4条 調査の区分は、火災原因調査及び火災損害調査とする。
(1) 出火原因 火災の発生経過及び出火箇所
(2) 発見、通報及び初期消火の状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過
(3) 延焼状況 火災の延焼経路、延焼拡大要因等
(4) 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等
(5) 消防用設備等の状況 消火設備、警報設備及び避難設備の使用、作動状況並びに防火管理の状況等
(1) 人的被害の状況 火災による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的被害の状況及びその発生状況
(2) 物的損害の状況 火災による焼き、消火、爆発等による物的な損害状況
(3) 損害額の評価等 火災により受けた物的な損害の評価及び火災保険等の加入状況
(調査の責任)
第5条 署長は、その管轄区域内で発生した火災の調査責任を有する。ただし、2以上の管轄区域にわたる火災の調査については、別に定めるものとする。
2 署長は、火災の発生を覚知したときは、直ちにその調査を開始しなければならない。
(調査結果の管理)
第6条 消防長及び署長は、調査により得られた情報、調査結果に基づき作成された文書等を適切に管理するものとする。
(調査結果の活用)
第7条 消防本部予防課長(以下「予防課長」という。)は、調査結果の分析及び検討をして、火災の実態を明らかにするとともに、消防行政に反映できる資料を整備し、活用するよう努めなければならない。
第2節 調査体制
(調査体制の確立と技術の向上)
第8条 消防長及び署長は、常に機材の整備を図るほか、調査体制の確立に万全を期するとともに、調査員の調査技術の向上に努めなければならない。
(主任調査員等の指定)
第9条 署長は、それぞれ所属職員の中から、調査に従事する職員(以下「調査員」という。)を指名しておかなければならない。
2 署長は、消防司令補以上の階級にあつて、消防学校等において調査に関する専門的知識と技能を修得した者又はそれと同等の能力を有すると認める者のうちから、調査に専従する者(以下「主任調査員」という。)を指定するものとする。
3 署長は、消防司令補以下の階級にある者のうちから、副主任調査員を指定することができる。
(本部調査員の派遣要請)
第10条 署長は、調査上特に専門的な技術又は知識が必要であると認めるときは、消防長に対し、本部調査員の派遣を要請することができる。
2 消防長は、前項の規定による要請があつた場合は、火災の状況等を勘案し本部調査員を派遣するものとする。
3 消防長は、特に必要があると認めるときは、第1項の規定による要請によらず、本部職員を派遣することができる。
(鑑識、鑑定等の依頼)
第11条 署長は、消防長に対し、火災原因の究明に必要な鑑識、鑑定、実験等を鑑定依頼書により依頼することができる。
2 消防長は、焼損物件の鑑定において、成分分析、性状解析等が特に必要であると認めるときは、関係機関又は学識経験者にその依頼をすることができる。
第3節 調査本部の設置及び運営
(調査本部の設置)
第12条 消防長は、大規模火災又は社会的影響の大きい火災の発生に際し、機能的かつ効率的な調査の執行のため必要があると認めるときは、消防本部に調査本部を設置する。
2 調査本部の編成について必要な事項は、その都度定める。
(調査本部長)
第13条 調査本部長(以下「本部長」という。)は、消防長とする。ただし、消防長は、火災の態様により消防次長又は署長を本部長とすることができる。
2 本部長は、次に掲げる事務を総括する。
(1) 調査本部の設置に関わる火災(以下この節において「本部設置火災」という。)の調査執行
(2) 本部設置火災の現場の保全及び情報管理並びに関係機関との連絡調整
(3) 前2号に掲げるもののほか、調査本部の運営の総括に関すること。
(現地調査本部)
第14条 本部長は、必要に応じ、調査本部の事務の一部を行う組織として、現地調査本部を設置することができる。
(関係課長への協力要請)
第15条 本部長は、本部設置火災のため必要と認めるときは、関係課の長に対し、資料の提供等について協力を要請することができる。
(報道機関に対する発表)
第16条 本部設置火災について報道機関等に発表する場合は、調査本部内で調整を図つた上で行うものとする。
(調査本部の解散)
第17条 本部長は、調査が完了したときは、本部を解散する。ただし、調査の状況によつては、調査完了前であつてもこれを解散することができる。
第3章 調査業務の執行
第1節 調査実施上の通則
(主任調査員等の責務)
第18条 主任調査員は、調査業務を適正に推進するため、火災原因の判定及び調査書類の作成に関し、積極的に他の調査員に対し指導又は助言を行わなければならない。
2 副主任調査員は、主任調査員を補佐するとともに、調査員相互の連絡調整を図り、事務の効果的な推進に努めるものとする。
3 調査員は、調査上必要な知識を習得し、調査技術の向上に努めなければならない。
4 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないよう努めるとともに、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
5 調査員は、調査の経過その他参考となるべき事項を記録しておかなければならない。
(立入りの原則)
第19条 調査現場その他関係のある場所への立入りは、原則として関係者等の立会いの下に行うものとする。
2 調査現場に立ち入る際は、消防手帳を携帯し、関係者の請求があつた場合は掲示するものとする。
(質問)
第20条 調査員は、関係者等に対して調査上必要な事項を質問し、火災状況の把握に努めなければならない。
2 前項の規定による質問は、別に定めるところにより行うものとする。
(少年等に対する質問)
第21条 少年(18歳未満の者をいう。)、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者又は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律123号)第5条に規定する精神障害者(以下これらをこの条において「少年等」という。)に対して質問を行う場合は、立会人を置いて行うものとする。ただし、立会人を置くことにより真実の供述が得られないと認められる場合は、この限りでない。
2 少年等に対して質問を行うに当たつては、少年等の心情を考慮し、充分な理解をもつて当たらなければならない。
3 少年等を、現場見分に立ち会わせてはならない。ただし、年齢、心情その他の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。
第2節 火災出場時の調査
(火災出場時の見分)
第22条 火災現場に出場した消防職員は、消防活動を行うとともに、出火場所、延焼状況等火災状況の見分に努めなければならない。
2 調査員は、調査に活用するため、出場の途中及び火災現場において、関係者等への質問及び現場の状況から、発見、通報、初期消火、火気管理、避難、死傷者及び消防対象物のり災の状況、消防用設備等の使用及び作動の状況等を把握するよう努めなければならない。
3 火災現場に出場した消防職員は、把握した事項について調査員から報告を求められたときは、出場時における見分調書により報告するものとする。
(現場の保存)
第23条 火災現場に出場した消防職員は、調査のため必要があると認める範囲において、法第28条第1項の規定により消防警戒区域を設定し、現場保存に努めなければならない。
2 前項の規定による消防警戒区域の設定は、所轄警察署と連携を密にして行うものとする。
3 署長は、火災現場において焼死者その他変死者があると認めたときは、速やかに消防長に報告し、所轄警察署長に通報するとともに、現場保存に努めなければならない。
第3節 鎮火後の調査
(調査現場の指揮)
第24条 署長は、調査の進行の万全を期するため、調査の指揮者(以下「指揮者」という。)を指定するものとする。
2 指揮者は、現場見分、写真撮影、図面作成等についてそれぞれ担当者を指定し、組織的に調査の進行を図るものとする。
3 指揮者は、火災の規模等により、主任調査員、副主任調査員等にその職務を代行させることができる。
(現場での立会い)
第25条 火災現場における調査は、関係者の立会いの下に行わなければならない。ただし、関係者の不在等でやむを得ないときは、警察官、関係者の近親者その他適切な者を立ち会わせて行うことができる。
2 立会人の選定に当たつては、見分場所又は物件に直接関係する者を優先しなければならない。
3 調査現場において調査のため必要があるときは、関係者の了解を得て、当該火災に関係する物件等(以下「物件等」という。)の製造者等を調査に立ち会わせることができる。
(火災原因調査)
第26条 指揮者は、調査員に第4条第1項の火災原因調査を実施させるものとする。
(現場の発掘)
第27条 出火原因の調査においては、火災現場及び火災出場時の見分状況並びに関係者等の供述から総合的に判断して、出火範囲を限定し、火災現場の発掘(以下「発掘」という。)を行うものとする。
2 発掘は、前項の規定により出火範囲として限定した区域について、当該区域の周囲から出火箇所付近に向かつて順次実施するものとする。
3 発掘に際しては、立会人の供述に基づく物品配置等に留意し、物件等の原状確保に配意しなければならない。
(出火原因の検討)
第28条 出火原因の検討は、発掘の結果、出火箇所が判定された段階において行うものとする。
2 出火原因の検討は、発掘された物件等の鑑識結果、出火箇所付近の焼損状況及び延焼経路を参考として行わなければならない。
(調査完了時の措置)
第29条 指揮者は、調査現場における調査を完了したときは、関係者に対しその旨を通知するものとする。
(火災損害調査)
第30条 指揮者は、調査員に第4条第1項の火災損害調査を実施させるとともに、必要に応じて、り災した消防対象物の関係者に対し、次に掲げるり災申告書の提出を求めることができる。
(1) 不動産り災申告書
(2) 動産り災申告書
(3) 車両・船舶・航空機り災申告書
(4) 林野・その他の物件り災申告書
2 署長は、前項の規定による申告書を受理したときは、詳細に審査し、その内容が現場における消防対象物のり災状況の調査の内容と著しく異なる場合は、申告者に対し、質問等によりその矛盾を明らかにし、訂正させなければならない。
(り災証明)
第31条 署長は、火災の関係者に対し、申請に基づきり災の証明を行うことができる。
2 り災の証明書は、別に定めるところにより交付するものとする。
第4節 鑑識等
(焼損物件の鑑識)
第32条 署長は、調査現場における焼損物件の詳細な見分が困難なとき又は実験等を必要とするときは、鑑識を行うものとする。
2 署長は、鑑識を行うときは、第11条の規定による鑑識、鑑定等の依頼を調整した上で行うものとする。
(焼損物件等の提出)
第33条 署長は、鑑識が必要であると認めるときは、関係者に対し、任意に焼損物件等を提出させることができる。
2 署長は、前項の規定により焼損物件等を提出させる場合は、関係者に対し、資料提出承諾書を提出させるものとする。
(資料の提出)
第34条 署長は、前条第1項の規定による焼損物件等の確保が困難と思われるときは、法34条第1項の規定により、関係者に対し、資料提出命令書により焼損物件等の提出を命ずるものとする。
(焼損物件等の保管及び返還)
第35条 署長は、前2条の規定による焼損物件等の提出があつたときは、提出者に対し、資料保管書を交付しなければならない。
2 焼損物件等は、保管品台帳に記載してこれを保管しておかなければならない。
3 焼損物件等を返還するときは、第1項の資料保管書と引換えに行うものとする。
(官公署への照会)
第36条 消防長又は署長は、法第32条第2項の規定により官公署に対し調査に関する必要な事項を照会するときは、火災調査関係事項照会書により行うものとする。
第4章 調査結果の記録等
第1節 調査書類の作成
(調査書類の作成)
第37条 署長は、その管轄区域内で発生した火災について、本章の規定により調査の記録書類(以下「調査書類」という。)を作成しなければならない。
(調査書類)
第38条 調査書類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 火災調査書
(2) 火災原因判定書
(3) 火災出場時における見分調書
(4) 実況見分調書
(5) 現場写真ちよう付書
(6) 質問調書
(7) 火災原因の立証のための資料
ア 鑑識・試験結果書
イ 鑑定書類
ウ 火災調査関係事項照会書に対する回答文書等
エ 立証のための文献資料
(8) 損害調査に関わる調書
ア 建物・収容物損害調査書
イ 建物以外の損害調査書
ウ 損害額評価算出書
エ 死傷者調査書
(9) 防火管理等調査書
2 調査書類には、調査の内容を明らかにするため、必要な写真及び図面を添付するものとする。
3 調査書類の様式は、別に定める。
(調査書類の作成基準)
第39条 調査書類は、火災の程度及び種別に応じて別に定める基準により作成するものとする。
第2節 火災の報告
(火災即報)
第40条 署長は、管轄区域内に発生した火災について、概要を消防長に即報しなければならない。
(調査書類の提出)
第41条 署長は、別に定める期間内に、第37条の規定に基づき作成した調査書類を消防長に提出しなければならない。この場合において、当該期間内に処理することが困難と予想される場合は、その旨及びその理由を消防長に報告するものとする。
(火災の報告)
第42条 消防長及び署長は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第40条の規定により報告を求められたときは、これに応じなければならない。
(調査書類の保存)
第43条 予防課長は、送付された調査書類を1件ごとに一括し、原本として保存しておかなければならない。
2 写真陰画等は、別に定める方法により保存するものとする。
第3節 照会の対応
(照会の対応)
第44条 消防長は、裁判所、捜査機関、弁護士会等から調査結果の内容について照会があつたときは、調査書類の抄本を送付し、又はその内容について回答することができる。
2 照会の対応は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び大曲仙北広域市町村圏組合個人情報の保護に関する法律施行条例(令和5年大曲仙北広域市町村圏組合条例第1号)に規定する個人情報の保護及びプライバシーを尊重するとともに、その他消防行政に及ぼす影響に細心の注意を払わなければならない。
(参考人、証人等としての出頭等)
第45条 調査員は、自ら担当した調査に関して、捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼び出され、若しくは召喚を受けたときは、消防長及び署長にその事案の概要を報告しなければならない。
2 前項に規定する場合において、調査員は、当該要請等に応じて出頭したときは、その結果について消防長及び署長に報告しなければならない。
第5章 雑則
(委任)
第46条 この訓令に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成19年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令による改正前の大曲仙北広域市町村圏組合火災調査規程の規定によりした手続その他の行為であつて、この訓令中に相当する規定があるものについては、当該規定によりした行為とみなす。
附則(平成21年4月1日消防本部訓令第7号)
この訓令は、平成21年4月1日から施行する。
附則(令和5年4月1日訓令第6号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。